「住まい」のコラム
不動産相続にかかる税金とは?相続税・登録免許税の計算方法と税金対策を解説
不動産を相続すると、相続税や登録免許税などの税金が課される場合があります。不動産は価値が高いため、「相続税が高額になるのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、不動産相続時にかかる税金の種類や計算方法、負担を軽減するための税金対策について、わかりやすく解説します。スムーズに相続手続きを進めるために、ぜひ参考にしてください。
不動産相続時に発生する税金の種類
不動産を相続した際にかかる税金は、登録免許税相続税のおもに次の2つです。各税金の概要と納税方法について、順番に解説します。
登録免許税とは
登録免許税は、不動産を相続する際に名義を被相続人から相続人に変更する「相続登記」で必要な税金です。
相続登記は、令和6年4月1日から義務化され、不動産の相続を知った日から3年以内に手続きを行わないと、10万円以下の過料が課される可能性があります。スムーズな相続のために、登録免許税と登記手続きについて理解しておきましょう。
登録免許税の計算方法
登録免許税は、固定資産税評価額に0.4%を掛けて計算します。
たとえば、評価額が200万5,300円の場合、1,000円未満を切り捨てて200万5,000円となり、「200万5,000円×0.4%=8,020円」と計算されます。この場合、100円未満を切り捨てて8,000円を登録免許税として納税します。
登録免許税の納税方法
登録免許税の納付方法には以下の選択肢があります。
①金融機関での現金払い
窓口に納付書を提出し、登録免許税を支払います。支払い後に領収証書を受け取り、これを相続登記の申請書に貼り付けて登記所に提出します。
②オンライン申請での電子納付
インターネットバンキングや専用の決済システムを利用して納付します。オンラインでの手続きが可能なため、窓口へ行く手間が省けます。
③収入印紙での納付
納税額に相当する収入印紙を購入し、申請書に貼り付けて登記所に提出します。この方法も手軽に利用できます。
相続税とは
相続税とは、亡くなった方から財産を受け継いだ際に、基礎控除額を超えた場合にのみ課される税金です。
基礎控除額を下回る遺産総額の場合、相続税は発生しません。たとえば、基礎控除額が3,600万円だった場合、遺産総額が3,600万円を下回れば相続税はかかりません。
なお、相続税が課されるのは基礎控除額を超えた部分に対してのみです。また、申告と納付の期限は、被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内であるため注意が必要です。
相続税を納税する流れ
相続税を申告するには、まず相続人を確定する必要があります。そのために、相続人全員の戸籍謄本を取り寄せましょう。
その後、遺言書があれば内容に従って遺産を分けますが、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議という話し合いを行い、遺産をどのように分けるのかを決めます。話し合いの内容は遺産分割協議書にまとめ、それに基づいて遺産を分けます。
相続税の納税方法
相続税の納税は、相続開始を知った日から10か月以内に行う必要があります。納付先には、税務署や近くの金融機関など複数の選択肢があります。
相続人は、自分で税額を計算し、申告書を提出しなければなりません。
納税額が30万円以下の場合は、コンビニでも支払いが可能です。ただし、コンビニで支払うには、事前に税務署でバーコード付き納付書を発行してもらう必要があります。
また、インターネット環境があれば、クレジットカードでの支払いも可能です。しかし、クレジットカードでの支払いにはいくつかの注意点があります。
利用限度額までしか支払いができず、領収書が発行されないこと、さらに手数料がかかることがあります。
また、クレジットカード支払いは納税額が1,000万円未満の方が対象となっている点にも注意が必要です。
相続税の計算方法
相続税は自分で計算して納付書を作成する必要がありますが、もし払いすぎてしまっても税務署からの連絡はありません。そのため、不安な場合は税理士に依頼するのが安心です。まずは、相続税の計算方法を理解し、自分で計算できるかどうかを確認しておきましょう。
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1)相続税の基礎控除額を計算
相続税を計算するには、まず基礎控除額を求める必要があります。基礎控除額は、次の計算式で算出できます。
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 相続人の人数)
たとえば、相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円になります。
相続人の人数が増えるほど、基礎控除額も高くなりますので、相続税がかかるかどうかを判断する際に重要なポイントです。
2)相続税の課税価格を計算
相続税の課税価格を計算するには、まず「課税遺産総額」を求めます。これは次の式で計算できます。
課税遺産総額 = 正味の遺産額 - 基礎控除額
「正味の遺産額」とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた金額です。プラスの財産には不動産や預貯金、自動車などが含まれ、マイナスの財産には借金や未払い金、葬儀費用などがあります。
課税遺産総額がわかると、次に「課税価格」を求めます。これには次の式を使います。
課税価格 = 課税遺産総額 × 法定相続分
「法定相続分」とは、民法に基づく相続割合です。例えば、相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者が1/2、子どもが1/2を相続します。他にも以下のような法定相続分があります。
- 配偶者と子ども:配偶者1/2、子ども1/2
- 配偶者と直系尊属(父母や祖父母):配偶者2/3、直系尊属1/3
- 配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
- 配偶者がいない場合:子どもが全額相続
また、子どもや兄弟姉妹、直系尊属が複数いる場合は、配偶者以外の相続分を均等に分ける必要があります。
3)相続税を求める
相続税を計算するためには、まず課税価格に対して適用される税率を確認し、控除額を差し引きます。課税価格が3,800万円の場合、以下の計算式を使って相続税を求めます。
相続税 = 課税価格 × 税率 - 控除額
税率と控除額は次のように設定されています
- 課税価格1,000万円以下:税率10%(控除額0円)
- 課税価格3,000万円以下:税率15%(控除額50万円)
- 課税価格5,000万円以下:税率20%(控除額200万円)
- 課税価格1億円以下:税率30%(控除額700万円)
課税価格が3,800万円の場合、税率は20%、控除額は200万円となります。
これを計算式に当てはめると、相続税は「3,800万円×20%-200万円=560万円」となります。
不動産相続時に活用できる税負担軽減の制度
不動産相続時には、税金を軽減するための特例や控除を活用できる制度があります。これらの制度を利用するためには、各特例の適用条件をしっかりと確認しておくことが重要です。
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住宅資金贈与の特例
住宅資金贈与の特例は、被相続人が生前に行う税金対策の一つです。
この特例では、子や孫に住宅購入のための資金を贈与すると、最大1,000万円まで非課税にできます。ただし、適用にはいくつかの条件があります。
- 贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上である
- 贈与を受ける年の所得総額が2,000万円以下である
- 贈与された資金を、贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅購入費に全額充てる
- 贈与された資金で購入した住宅には、翌年の12月31日までに入居していること
配偶者控除
配偶者控除は、配偶者が相続した財産のうち、最大1億6,000万円までが非課税になる制度です。
この控除を利用すると、1億6,000万円を超えた分に対しても、配偶者が法定相続分まで相続した場合は相続税がかかりません。適用には以下の条件があります。
- 戸籍上の配偶者であること
- 相続税の申告期限までに遺産分割協議を終え、申告書を提出すること
事実婚のパートナーは、民法上の配偶者に該当しないため、配偶者控除は適用できません。
相次相続控除
相次相続控除とは、短期間に相次いで相続が発生した場合に利用できる制度です。
この控除は、10年以内に発生した相続において、前回相続した際に支払った相続税の一部を、今回の相続税から差し引けるものです。適用には、以下の条件を満たす必要があります。
- 前回の相続で相続税を支払っている
- 今回の相続で法定相続人である
- 前回の相続から10年以内に新たな相続が発生している
なお、遺言書による財産の遺贈を受けた場合は、この控除は適用されませんので注意しましょう。
まとめ
不動産を相続する際には、相続税や登録免許税などの税金がかかりますが、基礎控除や各種特例・控除を活用することで税負担を軽減できます。株式会社7ARC(セブンアーク)では、不動産相続に関する税金や手続きについて専門スタッフがサポートいたします。相続税や税金対策に関する不安や疑問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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